豊橋ボタニカルガーデンの創業者であり、現在は会長を務める近藤光彦。「創業への想い」「豊橋ボタニカルガーデンのこれから」をテーマに語る!

 

 

――それでは会長さん、今日はインタビューよろしくお願いします。豊橋ボタニカルガーデンさんのこれまでのこと、いろいろと教えてくださいね。

 

 

わかったよ。何を話せばいいのかな。

 

 

――そうですね、まずは会長さんのご経歴、知りたいです!

 

 

経歴ね。豊橋ボタニカルガーデンを創業したのが今から32年前で、息子に代を譲ったのが2005年だから、それからもう11年になるかな。

 

会社を起こす前は、地元の種苗会社で15年くらい会社員をしていたんだ。父親がチランドシア・キアネアっていう観葉植物の生産農家をしていてね、昔から植物に触れる機会は多かった。父親が生産を始めたのが、昭和40年くらいだったんだけど、ちょうどその時はこの地域に観葉の栽培技術が広がって、観葉農家が増えはじめた頃だったんだ。

 

今、会社があるこの場所は、実は木造の温室が建ってて、チランドシア・キアネアを育てていたんだよ。

 

 

――会長さんのお父さんも、園芸業界の方だったとは。しかも、昔は温室が木造だったなんてことにもびっくりです(笑)。ところで、会長さんは、稼業のチランドシア・キアネアの生産を継ごうという想いはなかったのですか?

 

 

そうだね。植物は好きだし、おもしろいと思っていたけど、自分は生産は向いていないと思っていた。どちらかというと、販売の方が興味があったんだ。

 

近くに植物はたくさんあったから、気がつけば「これは元気に育ってくれるのかな?」とか、「どうして上手く育たないのかな?」「もっと美しく作るにはどうしたらいいのかな?」とか、自然と観察するようになっていたし。そういうのが、植物を育てて一番楽しいって思うところだろ?でも、そんなこと知ってる人って、その当時まだまだ多くはなかったんだよね。だからこそ、自分が見つけた植物のおもしろさを、もっといろんな人に教えてあげたいと思ったんだ。

 

 

――なるほど。会長さんって、本当に植物が好きなんですね。いつも植物のこと相談すると何でも答えてくれるから、植物博士みたいだし。でもどうやってその知識を身につけてきたのかな?ってすごく不思議で。それって、昔から植物とじっくり会話してきたからなんですね(笑)

 

 

まぁ、そういうことかもしれないね(笑)

 

根のある植物は、育て方によって良くも悪くも変化するから、その成長過程を知るのは昔から好きだったよ。だからこそ、植物を買う人にも、自分が感じている楽しさを伝えたいと思ったし、植物を育てるためのアドバイスができるお店を作りたいと思って、豊橋ボタニカルガーデンを創業したんだよ。

 

ちょうど父親も歳をとって、温室も建て替えの時期を迎えたり、自分自身も一つ人生の選択をする時期にさしかかったな、なんて感じていたような気がするね。

 

   

――そういうお話、新鮮です。きっと、その当時のお話ではないかと推測するんですが、会長さんは、ガーデニングブームが来る前から「これから家庭園芸が普及する」とお話しされていたそうですね。当時、そんなお話をされていたこと、覚えていますか?

 

 

もちろん覚えているよ。会社を創業したころは、世の中が生活に余裕のなかった時代から、心の豊かさを求められる時代へと変化している時だった。園芸植物も徐々に普及し始めていた時だったし、これから花を愛でる文化が広がると確信していたよ。

 

 

――それで見事「ガーデニングブームの到来!」ですね。あの当時、花業界の売上すごかったみたいですね。

 

 

そうだね。花苗が飛ぶように売れていたなぁ。農家は何を作っても売れるし、小売店は何を仕入れても大量に消費されていく。

 

当時、日本が世界一の花の生産国だったって話は知ってるかな?それぐらいに、国内の生産も消費も多かったんだよ。だけど、そんな時期はあっという間で、すぐに価格競争がはじまってね。安くて貧弱な植物も流通して、お客さんに「花はすぐダメになる」っていう印象がついてしまったり、育てる方法も知らずに植物を購入した方は、花をすぐ枯らしてしまって「私には無理かな」って植物からはなれていく。

 

価格競争に巻き込まれて、お店を閉める小売店も多かったんだ。こういう悪循環は、悲しかったね。

 

 

――そうですよね。でもそんな中、豊橋ボタニカルガーデンさんは生き残ってきたワケですよね。その理由って、何だと思われますか?

 

 

生き残りの理由かどうかはわからないけど、価格競争がはじまっても、自分は本物の植物を扱いたいと思っていたし、この植物の良さが何なのかとか、それを美しく育てるにはどうしたら良いのかとか、お客さんにずっと伝え続けていたかな。

 

その頃、植物の育て方を教えられるほど知識のある人は、小売店の中にも少なかったから。それでは植物は売れなくなる。だからこそ、後の管理方法も含めてどれだけアドバイスできるかに、店の格差が出てくると思ったんだ。

 

お花を買ってくれたお客さんが、逆に「ありがとう」なんて言ってくれるのがうれしかったよね。

 

 

――会長さんらしくて素敵です。ちなみに、会長さんがおっしゃる「本物」の植物かどうかって、何か見極め方法があるんですか??

 

 

まぁ、経験って言ってしまえばそれまでだけど(笑)

 

どんな植物も、基本は「根はしっかり、上はゆっくり」なんだ。栽培技術が進むにつれて、短期間で出荷できる植物も増えているけど、やっぱり根がしっかりしないうちに、上を、つまり花を育ててしまった植物は、軟弱になり、病気にかかりやすくなる。

 

だからこそ、生産者さんがどんな風に栽培されているのかを知ることも、とても大事なんだよ。

 

 

――さらにいいお話!植物も人間と同じという訳ですね。

 

 

そういうこと。

あとは、どんなに良いものを作っても、売れなきゃ意味がない。ガーデニングブームの時は何を作っても売れたけど、時代は変化していくものだから。

 

どういうものを作ったら良いのか、もしくは悪いのか。そういうことを、しっかりお客さんの声を聞きながら見極めて「買ってもらえる商品」を作る力をつけることが、これからの生産者さんには重要だよね。

 

消費者と生産者をつなぐ手助けは、仲卸の我々がやっていくべき重要なミッションでもあるし。今の花業界は、正直この辺が弱いから、何十年かかってもやっていかないといけないね。

 

 

――会長さんの、人生をかけた一大プロジェクトですね・・・。会長さんは、全国の生産者さんとのつながりが強いですけど、そういうところを頼りにされているんですね、きっと。

 

 

そうだと嬉しいね。生産者さんと一緒に売れる商品を作っていくのは好きだし、何より自分が売りたいと思う商品がなくなったら困るからね(笑)

 

ここ15年くらい、長野県で秋出荷のパンジーを作ってもらっているんだけど、秋にしまったパンジーを作るには、夜温が低くないとできなくて。地元でやると間延びするし、標高1000mのところまで上げたらシミができる。結局、標高500mの今の場所にしたら、納得のいく花ができたりね。

 

季節によって、そのお花を作るのに適した場所も変わっていくし、これからの時代、温暖化が進んで、何をどこで栽培するのが良いかも変わっていくだろうから、生産者さんと一体となって花を作っていくことがますます重要になっていくね。

 

 

――勉強になります。そういう時代に合わせて、今後、豊橋ボタニカルガーデンさんはどんな成長をしていくんでしょうか?

 

 

今は息子に期待しているよ。

 

自分はどちらかというと職人気質だけど、親の良いところをまるごと継いでも会社は変わらないし、でも時代は変化していくんだから。息子は、営業が好きなのがよくわかるし、時代に合ったおもしろいアイディアも持っているから、いろいろな方とつながらせてもらいながら、今ここにない仕事を作っていくことに精一杯努力して欲しいと思っているよ。お客さんの声をよく聞きながらね。

 

まぁ、あとは。たまに少しくらい頼ってもらって、私の経験を活かしてくれたら嬉しいかな。

 

 

――良いお話をありがとうございました。ますますこの会社、好きになりました。これからもよろしくお願いします!

 

Interviewer 太田春菜

 

HANAイノベーション株式会社の企画ディレクター。お花のプロモーションやイベント企画、販売・新商品の開発など、花にまつわるあらゆる企画にたずさわっている。バラの生産者の娘で、お花が大好き。